Curry on Mars ?

THE YELLOW MONKEY / FOUR SEASONS

FOUR SEASONS

前作「smile」の成功により、お金をかける事が出来るようになったのでしょう。

楽曲、ビジュアル、PV、アートワーク…あらゆる要素が洗練され、一気にメジャーの大物感が出てきます。

一般の人が持つイエローモンキーのビジュアルや楽曲のイメージも、この頃のものが強いのではないでしょうか。


代表曲「太陽が燃えている」「追憶のマーメイド」を収録している時点で強いですが、アルバム曲も秀逸。

無力ながらも、新しい事を始めようとする自分を10代の少年少女に重ねたミディアムロック「Four Seasons」。

夜っぽいギラつきがクールな「tactics」。

一夜の恋とその虚しさをコミカルに描いた「LOVE SAUCE」。

熱いハードロック「I LOVE YOU BABY」「Sweet & Sweet」。

吉井が幼い時に死別した父親へのメッセージを綴った名曲「Father」など…良い曲が揃ってます。

また、これまでのように毒気の強い曲がほぼ皆無なので、聴きやすさとアルバムとしてのまとまりの面でかなり良く出来ており、そこの点では個人的に一番好きなアルバムです。


サウンドも大きく変化しており、前作まで平面的だった音に厚みと深さが出ており、よりリッチで煌びやかな音に変化しています。これも聴きやすさに貢献しています。


歌詞は、ストーリー仕立てや言葉遊び、享楽的な恋愛やセックスの詞が多かったのに対し、前述の「Four Seasons」や「Father」のようなメッセージ性のあるものが出てきました。

特に「Four Seasons」の『男らしいとか 女らしいとか そんなことどうでもいい 人間らしい君と』というフレーズはめちゃくちゃ強烈で、『君』というのは詞の登場人物と取れると同時に、リスナーに向けて語りかけているとも取れます。こういう詞は、以前の曲にはほとんど無かったと思います。

これは、音源の売り上げとライヴの動員が増えるにつれ、音楽を楽しむことプラス、ライヴでオーディエンスと繋がる喜びを、バンドが感じていったからではないかと想像しています。


バンドの勢い、とにかくポジティブな空気を感じる作品。必聴です。


その後バンドは「JAM」「SPARK」という名曲をリリースし、日本のロック史に残る存在へと、さらなる成長を遂げていきます。

 

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