俺が持っている「Rubber Soul」のレコードは初期プレスなのか!?の巻
今回はレビューではなく、レコードのお話。
僕はレコードもジーンズも酒もギターも好きですが、いわゆるヴィンテージというものに興味がなく、だいたい新品とか、安い中古を買っています。
しかし昨日、週明けから営業再開したディスクユニオンに行って久々にレコードを見ていると、他のジャンルに比べて手を出しやすい方の値段ではあるし、「アビイ・ロード」なら、めちゃくちゃ好きだから初期のプレスとか買っちゃってもいいかなぁなどと、思ってしまったのであります。
そして、自分が「ラバー・ソウル」の初期プレスと言われる盤を持っていることを思い出しました。
その盤と出会ったのは2011年、僕がイギリスのロンドンで語学留学をしていた時のこと。
ヒュー・グラントとジュリア・ロバーツの映画で有名なノッティング・ヒルのポートベローという通りでは、日曜になると様々な露店が立ち並ぶフリーマーケットが開催されます。
ある日曜、フリーマーケットに立ち寄ってみるとレコードを売っている人がいたので、適当に見てみると、大好きな「ラバー・ソウル」が。モノ盤で、なんと「UK 1st Press」と手書きのシールが貼ってあります。お値段わずか2500円ほど。「ホントかよ!?」と思いながらも、まぁ実際古そうではあるし、現行の新品もこのくらいの値段だし、嘘だとしてもなんかの記念になるだろ。と、これまた適当な気持ちで買って帰ったのであります。
果たしてこれはUK1stなのか?と、とりあえず気にはなったのでネットで検索してみると、なにやらレコードにはマトリクスというシリアルNo.的なものがあり、これで判断できるとのこと・・・。
ここで、そもそも何故レコードは古いほうが良いとされているのか?UK1stプレスって何?ということをお話しします。
レコードの製造過程をザックリ書くと、
マスターテープ(アーティストが作った、大元の音源)
↓
ラッカーマスター(マスターからおこした金型)
↓
メタルマザー(ラッカーマスターは保存に向かないので、保存用におこされた金型)
↓
スタンパー(メタルマザーからおこした金型。これを塩化ビニールに押し付ける)
↓
レコード
と、なるようです。
レコードを作る時につかうスタンパーは、繰り返し使用すると当然劣化するので、またあらたにメタルマザーから作るそうで、そうなると、結果メタルマザーも劣化していきます。新しいメタルマザーを作るためにラッカーマスターに・・・と遡っていくと、結果全てのものが、ゆくゆくは劣化していく訳です。
よって、最初に、最も新鮮な状態でプレスされたレコードが、最も音が良いとされているのだそうです。
さらに、ビートルズはイギリスのバンドだったので、音源の制作や、その生産も基本的にはイギリスで行いました。
よって、上記の要素も輸出用のものよりも国内向けの方がより優先度が高く、新鮮だったため、UKでの1stプレスが至高とされている訳です。
ちなみに、もっと細かく言うと、そのスタンパーで何回プレスしたのかという違いもあるにはあるはずなんですが判別方法は無く、さすがにそこまで突き詰めるのは無理みたいです(笑)。
さて、僕の「ラバー・ソウル」は果たして1stプレスだったのか?というところに話を戻します。レコードに刻まれたマトリクスが、1stであればズバリ「1」とかいてあるとのこと・・・僕の物を見てみると・・・
「4」と書いてありました・・・。
やっぱり1stじゃないじゃん!と、ちょっとだけ意気消沈しましたが、聴いてみると音はいい感じだし、まぁ思い出として自分の宝物にしておこうと、この話題については興味を失っておりました。
そして数年が経ち、昨日ディスクユニオンで古い盤に少しだけ興味を持った僕は思ったのです。
自分が持っている「ラバー・ソウル」はどういう盤なのか、改めて調べてみようと!
前フリが長くなりましたが、検証開始です!
まずはジャケット。
おなじみのジャケ。
写真だと分かりづらいですが、古いだけあってぶっちゃけ汚いです(笑)。
そしてインナースリーブ。
うん、これまた汚い。
破れてレコードがはみ出ちゃってるし、元の持ち主の名前まで書いてある。
中古のファミコンとかゲームボーイのカセットみたい(笑)。
割とレコードあるあるかなと思いますが、まぁこれはこれで、なんかイイもんですよね。
そして、盤!!
これまた写真だと分かりづらいですが、50年以上前の物がこれだけ輝くってのは、凄いなと、初めて見たときに少し感動したのを覚えています。
特に音飛びやひどいノイズも無く聴けています。何よりもコレが一番大事なこと。
そして、マトリクス。
「XEX-579-4」と刻まれているのが、わかりますでしょうか。
このケツが「1」であれば1stプレスとのこと。
僕のは「4」なので、4番目のプレスということなのだと思います。
しかし、どうやら話はこのマトリクスだけでは終わらないのです。
レコードには、先に書いたスタンパーやメタルマザーについても刻まれているとのこと!
さらには、当時のイギリスの税金に関する「タックスコード」という物まで刻まれているらしいのです。こちらも、見ていきます。
レーベル面の左側にあるメタルマザーの番号が「3」、右側にあるスタンパーの番号が「GGM」。これは数字をアルファベットに割り振ったものだそうです。
つまり、3番目のメタルマザーから114番目に作られたスタンパーからプレスされた盤、という意味になります。
そして、タックスコード。
信じられないくらい見づらいんですが、真ん中の穴の左右に、「KT」と刻まれています。これは1967年7月から1968年いっぱいの間使われたものだそうです。
つまり、その1年半の間に作られた盤だということです。
ここで一つ、ややこしい事案発生!
なんと、裏表でスタンパーは変わるとのこと。
なのでB面の方を見てみると・・・マトリックスは「XEX-580-4」、メタルマザーは「1」、スタンパーは「GPD(=160)」でした。
さらに!ジャケットにも違いがあるとのこと!
ジャケットを作っていた業者が2社あったそうで、このErnest J. Day & CO.が作ったもの方が数が少なく、レアだそうです。やったぜ!
まとめます。
僕の持っている「ラバー・ソウル」は、1967年7月1日〜68年12月31日の期間に行われた4回目のプレス(生産)において作られたもの。
A面は3番目のメタルマザーから114番目に作られたスタンパーに、B面は1番目のメタルマザーから160番目に作られたスタンパーによってプレスされ、よりレアなジャケに入れられた盤であることが分かりました。
「ラバー・ソウル」が1965年12月3日に発売されているので、少なく見積もっても、1stプレスから1年半後に作られたものとなります。それを初期プレスと呼んでよいのかは疑問ですし市場価格も分からないんですが、ひとまずスッキリしました!
コイツの価値がどのようなものかは分かりませんが、イギリスで出会った思い出や、53年もの時を経てもなお良い音を鳴らし続けるコイツの存在そのものはプライスレス!
これからも大事にしてきたいと思います。
しかしここで、さらなる問題が・・・。
実は「ラバー・ソウル」のレコードはコレ一枚しか持っていないので、肝心の音質を聞き分ける術を持っていないんですよね(笑)。
現行だとモノ盤のバラ売りって無いはずだし・・・。
持っている盤がある程度古いものだということは分かったものの、古いほうが音が良いのかどうかということは、結局分からずじまいなのでした。
いずれ機会があれば、試してみたいと思います。
それでは!