THE YELLOW MONKEY / jaguar hard pain
「自分たちなりのデヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』を作る」という意向のもと作られたコンセプト・アルバム。
1944年に戦死した兵士"ジャガー"の魂が、1994年にタイムスリップし、恋人"マリー"を探すというストーリーになっています。
前作で提示した、日本の歌謡曲やヨーロッパの古いポップスの要素を引き継ぎ、隠微で危うい雰囲気を漂わせ、聴いてはいけない物を聴いているのではというスリルを感じさせる作品です。
またサウンド面では、演奏や歌唱のテンションが高く、これまでと比べるとハードロック色の濃いアグレッシブな仕上がり。
「君の大切なVAGINAが泣いてる」だの「石で性器を潰しても君を好きでいられる」だの「首吊りの木で出来たギター」だの「尋問・連行・仮釈放、僕は見かけ通りさ」だの、これまで以上に退廃やエログロを感じさせるエグ味の強いパワーワードが炸裂する歌詞が、危うさと攻撃性に拍車をかけています。
それでいて、コンセプトアルバムなだけあって全体の統一感はよく、聴いていて疲れる作品ながらも不思議とサラッと通して聴けちゃいます。
イエローモンキー最強のアンセム「悲しきASIAN BOY」、ライヴで定番のアップテンポなナンバー「ROCK STAR」、ハイテンションな「薔薇娼婦麗奈」「A HENな飴玉」、古いフランスのポップス風な「街の灯」、ボウイ「ロックンロールの自殺者」を彷彿させるバラード「Merry X'mas」など、充実の楽曲群。
初期イエローモンキーの、グラムロックをベースに築き上げた耽美と退廃の世界観の到達点であり、それを分かりやすく聴ける作品でもあるため、初心者にもおススメです。