Curry on Mars ?

THE YELLOW MONKEY / 9999

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イエローモンキー、19年振りの新作!
再結成からも3年が経ち、ファンとしては待望のアルバムです。
「新作なんてすぐに出せるでしょ」と個人的には思っていたのですが、今作リリースに伴うメディアでのインタビューなどによると、どうやら一筋縄ではいかなかったとの事で、バンドをより強固にするための3年に渡る旅を経て、ようやくこのアルバムに行き着いたようです。

サウンドは再結成以降続いている、音の数を絞ったナチュラルな路線。オルタナティブやオールドロック的でもあります。
やはり19年もの時間が経ってしまっているため、吉井の声も、メロディや歌詞の雰囲気も、楽器の音も変わっており、単純にあの頃のイエローモンキーが作った次のアルバムと捉えるのは難しく、吉井のソロ作品を聴いていない人は違和感を持ってしまうと思います。
そこがディープなファンではないリスナーにとってネックになるのではと、ひとつ心配な点ではあります。

しかしながら、派手ではないもののロックアルバムとして良い作品です。
日本で土屋昌巳プロデュースのもと制作した「この恋のかけら」以外の6つのアルバム曲はロサンゼルスの"サンセット・サウンド・レコーダーズ"で録音。
オレンジがかった太陽や海岸線、ヤシの木、荒野や古びた商店といったLAの景色を思わせる、ガレージ感のあるザラつきや、ブルージーな太く甘いリッチさを持った音色で、その辺りのロックが好きな人には響くサウンドになっていると思います。
また全体的に穏やかな雰囲気で、あの頃のイエローモンキーからは、エロティシズムやロマンチシズムによる大人っぽい魅力が漂っていましたが、今作は円熟味や余裕という意味での大人っぽさを感じます。

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一曲目「この恋のかけら」がとにかく素晴らしく、毎日毎日聴いてしまいます。
『錆びついたエンドロールが流れていく またひとつ僕達の映画が終わる』という歌い出しに、のっけから終わりだなんて何を言い出すのかと少し驚いたのですが、その後に『ザラついた灰色のロードムービーさ』と続き、アルバムの制作までに時間がかかった事やバンドが止まっていた時期を映画に、しかも『ザラついた』『灰色』というネガティブな言葉を使って例えることで、実はこの歌い出しが新たな始まりを意味していた事が分かり、猛烈に涙腺を刺激されます。

それから、大サビ前の『さぁ ダメ元で やってみよう 泣いても 笑っても 残された 時間は 長くはないぜ』というフレーズもヤバいです。
メンバー全員が50歳を超え、人生の終わりが少しずつ見えてきたところで、だからこそ好きなように、カッコいい曲を、カッコよくプレイしようという、高らかな宣言。
吉井和哉の詞にはどこか、何かを諦めたような冷めた目線があり、同時にその諦めや悲しさ、虚しさを燃料に、ポジティブな方向に感情を、時として無理やりに持っていくような性格があります。
僕はその要素がめちゃくちゃ好きなのですが、終わりと始まりを同時に歌ったこの曲にその匂いを猛烈に感じ、非常にグッときました。
また一つ新たな、バンドのマイルストーンとなる名曲が出来たなぁと思っています。

 

この恋のかけら

この恋のかけら

  • provided courtesy of iTunes

 

カッコいいメロディがあり、カッコいいグルーヴがあり、カッコいいギターが鳴る。そういうシンプルなバンド観やロック観を、バンド史上最も突き詰めたアルバムになっていると思います。
ぜひ、ご一聴ください!!

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