Curry on Mars ?

2020年私的ベストアルバム

更新しようしようと思いながら、早くも3月に突入してしまいました。
遅くなりましたが、2020年ベストアルバムを。 洋邦混成で、10作品挙げます。
先にレビューを書いていたものは、そちらのリンクを貼っております。 それではどうぞ!

10. 070 Shake / Modus Vivendi
アメリカ出身のSSW/ラッパー、ダニエル・バルブエナによるプロジェクトのデビューアルバム。 美麗でありながらどこか不穏なメロディとアーバンな音作りから醸し出される、夜っぽい空気感がカッコいい一枚。ローファイなシンセからは90年代の匂いも感じます。
ショップやサブスクのカテゴリーではヒップホップに分けられる今作ですが、 むしろRhyeやWhitneyのようなインディロック的な雰囲気も強く感じられました。
弱冠22歳とのことで、今後の活躍にもおおいに期待したいです。


9. The Pretenders / Hate For Sale
存在は知りながらもちゃんと聴いたことがなかったプリテンダーズ。
ヴィヴィアン・ウエストウッドの21年春夏コレクションにおいて、ボーカルであるクリッシー・ハインドが描いた絵画の数々がフィーチャーされると いうことで聴いてみると、素朴でストレートなリフやメロディに胸を打たれ、軽くハマってしまいました。
そんなナイスタイミングでドロップされた新作。
パワフルな楽曲たちが、10曲30分というコンパクトなボリュームに収められた、潔いアルバム。
結成から40年以上を経て、これだけ素晴らしい作品んをつくれるというのは、かなり凄いことだと思います。
代表曲「Kid」を彷彿とさせるキュートなリフが炸裂する「The Buzz」が最高です。


8. BLACK PINK / THE ALBUM
女性K-POPグループとして初のコーチェラ出演、PVのYouTube再生回数ギネス記録、レディ・ガガやセレーナ・ゴメスなど大物とのコラボなど、 今や世界的な影響力も持ち始めたBLACK PINK。 待望のファースト・アルバムです。とは言っても既存の代表曲を収録をすることはなく、新曲で構成。 こういう、韓国のアーティストのミニアルバム主体のリリースって、不思議ですよね。
トロピカルハウスやEDM的なアレンジ・構成は少し古いかな?という気もしますが、それを黙らせるだけのメロディの良さや、転調で意外性を出すといった工夫を盛り込んでいるのがイイですね。 これによって、ヒップホップ好きもダンスミュージック好きもポップス好きも聴ける作品になっている。
それから最近は歪んだ反ルッキズムの考えが氾濫していますが、うるせぇ!可愛いは正義なんだよ!と言わんばかりのメンバーのビジュアルとファッションも最高です。
ちなみに僕はジェニが好きです。


7. GO TO THE BEDS / GO TO THE BEDS
カミヤサキ脱退に伴い、2つに分裂したGANG PARADE
こちらGO TO THE BEDS(以下GTTB)には、僕の推しであるヤママチミキちゃんを含めた古株メンバーが集められたグループです。
音楽性においても、GTTBはHR/HM風の楽曲を、もう片方のPARADISESはギターポップを中心とした楽曲をいう風に担当が分けられています。
少しずつスターダムへとのし上がりつつあった中で立て続けに起こったメンバーの脱退、グループの分裂、そしてコロナ禍・・・という逆境に呑まれた自らの現状を、ただじゃ死ねないとか、過去を振り払って前に進むとか、自分に嘘はつかないとか、痛みを引きずりながら前へ進む姿勢が刻まれた歌詞が多くなっています。 正直、そこまで自分を卑下する必要は無いし、グループの分裂は水面下ではある程度前々から決まっていた事である訳で、つまり予定調和のピンチと言わざるを得ないと、僕は思っています。 よって、サウンドやパフォーマンスは素晴らしいけれども、詞世界が聴いててちょっとしんどいし今ひとつ入り込めない部分があるなぁと。こちらは、今後の変化やバリエーションが増えることに期待したいです。

 

6. Beabadoobee / Fake It Flowers
フィリピン生まれ、ロンドン育ちの若きSSWのファースト。
1曲目の「Care」を一聴して連想するのは、ニルヴァーナをはじめとする90年代のオルタナティヴやギターインディ。 キャッチーなリフやフックの効いたメロディ、静かなメロと騒がしいサビという対比など、オルタナ要素が詰まっています。
彼女や、前述の070 Shakes、日本だとmegashinnosukeなど、当時ののカルチャーをリアルタイムで経験していないZ世代が90年代の空気を今の感覚で取り入れるパターン、すごく多いですよね。個人的には歓迎したい流れです。

 

5. リナサワヤマ / SAWAYAMA 新潟出身ロンドン在住、ケンブリッジ大卒という才女によるセカンド・アルバム。
サイバーパンクの世界観を連想させるアートワークや日本語を取り入れた曲名や歌詞、宇多田ヒカルのような2000年前後のJ-POPを思わせるメロディなど、全体的に日本がテーマとしてあるような気がします。
その世界観もあってか向こうでも注目されているようで、去年は「情熱大陸」にも出てましたね。要チェックな逸材です。

 

4. 阿部真央 / まだいけます
ポップで胸を打つメロディ、ロックでカッコいいアレンジ。
素晴らしいの一言に尽きる最高傑作です。

阿部真央 / まだいけます - Curry on Mars ?

 

3. PIGGS / HALLO PIGGS
理想を求めて旅を続けるプールイが、自分で会社を起こして結成した新たなアイドルグループ。 独立しRyan.Bという新たなパートナーを見つけながらも、渡辺淳之介カミヤサキ、SCRAMBLESといったWACK周りの面々とも仕事をし、これまでのファンをグリップしながらも新たな個性を獲得しようと挑戦しています。
グラムロックをテーマとしているというだけあり、デヴィッド・ボウイやヴェルヴェットアンダーグラウンドを想起させる曲名が並び、曲の中にもオマージュが感じられます。サウンド面においては、そこまでグラム感はないかも・・・?笑
とにかく楽曲のクオリティが高い。かつ松隈ケンタ的なメロディ、特に旧BiSの時期の雰囲気をよく再現しており、涙腺を刺激されます。Ryan.B恐るべし・・・。
作詞はメンバーも行うWACKスタイル。「PIGGS-モナ・リザ-」に出てくる『3度燃やしたギターがきしむ』という、旧BiS、2期BiS、BILIE IDLEとグループを渡り歩いてきたプールイを描いたフレーズにこれまた涙腺を刺激されました。
BiSは歌が下手なメンバーが多く、技術より個性で勝負するグループだったのですが、PIGGSはみんな歌がうまい。ビジュアルも良いです。
推しは金髪ボブのCHIYO-P。力強く伸びがありながらも、コーラスがかかったような一癖ある歌声が本当に素晴らしい。これまた涙腺を(以下略)
昨年末にライブも観に行きましたが、熱く素晴らしいパフォーマンスでした。
コロナ禍が収まり、声出し&モッシュできる状態でぜひとも観たいです。

 

2. The Strokes / The New Abnormal
原点回帰感のある、ミニマルな作品。 静謐さの中に透けて見える熱が、コロナ禍における外出自粛とリンクして心を震わせてくれました。

The Strokes / The New Abnormal - Curry on Mars ?

 

1. 藤井風 / HELP EVER HURT NEVER
曲名やYouTubeにカヴァー動画を上げていたという話から、歌い手やボカロP的なものかと構えてしまいましたが、その予想を見事に裏切られ、そのノリノリのビートと美麗なメロディに夢中になってしまいました。
オーセンティックなR&Bに載せられる岡山弁がユニーク。ポップ音楽における方言というのは、大体はポジティブな内容の詞に対してだったり、自分の出自をアピールしたい時、コミカルな雰囲気を演出したい時に使われることが多いように思います。
しかしながら、別れやディスコミュニケーションをテーマにした彼の詞の場合には、そのコミカルさがむしろ悲哀を強調し、岡山弁の持つ程よく力の抜けた感じが、ビートに上手くハマっています。ハマりすぎて詞が頭に入って来ないほど(笑)。
ぜひライブを観たいと思い何度かチャレンジしましたが、まったくチケット取れず・・・。しかし彼のような素晴らしいアーティストがしっかり売れているというのは、素晴らしいことです。今年は観たい!!

 

こんな感じで10作、ご紹介しました。
2021年も素晴らしい作品とたくさん出会えますように!